INTERVIEW
インタビュー
舞台は、センサから自動車へ。
先進運転支援システムの開発現場を俯瞰する。
所属:AD/ADAS&シャシー制御開発部
日産のADAS開発を
指揮する“司令塔”。
私は入社以来、日産車に搭載されるADAS(先進運転支援システム)機能全般の開発を円滑に進めるためのプロジェクトマネジメントを担当しています。具体的には、プロパイロットや車線逸脱防止支援システムといった運転支援機能に加えて、駐車支援機能など。言うなれば、日産が展開する先進の運転支援機能の開発進捗を一括で管理するポジションです。
これらの技術をどの車種にどう搭載していくかの要件は商品企画部門が定めているのですが、私たちのチームとしてのミッションは、“性能・コスト・納期”のバランスを意識して、その要件を100%実現した形で量産体制に進めること。実現させるべき要件は、1車種につき1パターンではありません。同車種でも販売時のグレードや、展開する国によって、搭載されるADAS機能が異なるからです。グローバルで流通する日産車の企画・開発は日本で行っているため、国ごとの法令や好まれる機能も把握しながら対応しています。
1人の設計者から、
プロジェクトを俯瞰する存在へ。
前職は、大手電機メーカー系の部品サプライヤーで圧力センサの機械設計をしていました。圧力センサは小さな部品ということもあり、企画から設計、信頼性の評価まで一貫して担当。この時の経験によって、モノづくりの基本的な進め方を学びました。この知識は、自動車業界でも非常に役立っていると感じますね。
私が転職を考えた理由は大きく2つ。1つは、培った技術の知見を活かして、製品開発のマネジメントに挑戦してみたかったからです。新製品を開発するための方針決めや、具体的な設計課題の解決などに主眼を置くことで、モノづくりをより俯瞰的に捉えて進めるスキルを身につけたいと思いました。そしてもう1つは、仕事の成果をより日常生活の中で実感しやすい製品に携わりたいと考えたこと。中でも自動車は、新車リリースの度に世界中から注目を浴びますし、私自身もクルマが好きだったので、異業界ながら思い切って挑戦しました。
重要なのは、自らが目指すゴールを
他者にいかに正しく伝えるか。
自動車開発におけるプロジェクトマネジメントを進めるうえで、業界知識をキャッチアップすること以上に大変だったことがあります。それは“自分ではなく、他人に動いてもらう”ということ。前職では一連の工程に自ら関わっていたため、自分が責任をもって動けば、物事を前に進められる場面が多くありました。ところが、1つの製品に関わる人数やスケールが桁違いに異なる自動車開発の現場では、この考えは通用しません。
ADAS機能全体の進捗管理をする立場として、各機能の開発を担うエンジニアはもちろん、すべての関係部署との調整やゴールイメージの共有が不可欠です。一部分でも関係者間の認識がズレていると、リリースに向けて実現すべき“性能・コスト・納期”のバランスが崩れてしまいます。こちらが実現したいこと、依頼したいことを正確に相手に理解してもらうコミュニケーション力が、プロジェクトマネジメントにおいていかに大切かを学ぶことができました。
最先端技術の“幹”を理解し、
より質の高いマネジメントを。
転職によって、個人で設計作業を進める立場から、関係者との連携を図ってプロジェクト全体を指揮する立場に変わりました。新しいことに挑戦する好奇心と同時に、当初は不安も大きかったことを覚えています。でも、そんな自分を支えてくれたのがチームの先輩方です。日産は親身になって教育をしてくれる社員がとても多い印象で、私もOJTをベースに自動車開発の進め方を初期段階から丁寧に教わりました。実務面でも、前職での経験を活かせるものから徐々に拡げていくカタチで任せてもらえたのが良かったですね。安心して日々の業務に取り組めました。
これからの私の目標は、ADAS領域の技術的な知見をさらに深めること。マネジメントに必要となる基本的な技術情報は身につけたものの、ADASの開発エンジニアが持っている水準にはまだまだ及びません。昨今の自動車の進化を象徴する先端技術を深く知ることは簡単ではありませんが、技術理解が深い状態で行うマネジメントは、世の中により良い日産車を送り出すための近道になると信じて邁進していきます。