企業経営の羅針盤として、
財務会計視点で日産の成長を支える。

私たちのグループに与えられたミッションは主に二つ。一つ目は、多くの日産従業員にとって読みやすい会計指針の策定業務、二つ目は、経営層が下す重要な意思決定を財務会計視点でサポートする財務会計アドバイザリー業務です。会計は企業経営にとっての羅針盤であり、その鏡となる会計指針は、経営層のみならず経理領域を超えた多くの日産従業員にとっての業務指針なんです。そのため、できる限り読みやすく、かみ砕いた表現にすることで、会計をより身近な存在と感じてもらえるような会計指針の策定を目指しています。プラスαスキルとして重宝される簿記や会計知識に注目が集まる昨今、この指針をとおして各従業員が会計スキルを身につけ、自身の成長につなげられることを期待しています。

一方、重要な意思決定を行う経営層にとって、経営判断を左右する会計処理を十分理解する事は不可避です。大きな変革期である日産は、大小問わず日々多くの案件に対応するため、迅速かつ正確な財務会計アドバイスが求められます。たとえば、2020年5月公開の日産事業構造改革『Nissan NEXT』を迅速に遂行するにあたり、外部監査人との協議、グループ全体の会計処理とプロセスの標準化、社内関係部署へのアドバイスや指導は、私たちの重要な役割でした。

わが子に自慢できる“製品”を求め、
大転換を迫られる憧れの業界へ。

前職はアメリカの監査法人で、主に、上場企業の海外支社におけるパッケージ監査を行っていました。しかし、外部監査人はあくまでも“第三者”であり、自社製品・技術に対し誇りやプライドを持って商売を行う事業会社の存在に魅力を感じ始めていました。バックオフィス業務として、たとえ間接的であっても、”自社製品に貢献できる”という環境に身を置きたい、これが転職の最終的な判断材料でした。実は、私の父もかつて監査法人から事業会社に転職をしていまして、兄や私にうれしそうに自社開発技術の話をする姿から、“売るモノがある仕事”に魅力を感じていたんです。

また、当時2歳の息子に、「パパの会社はこれをつくっているんだよ」と伝えられるようになりたいと思ったのも理由の一つ。結果、さまざまな会社からお声がけをいただきましたが、“自動車業界”への興味から日産への入社を決めました。私は幼いころから自動車が好きで、学生時代は友人が乗っていたエクストレイルに憧れ、いまは家族で新型セレナを愛用しています。入社当時の日産は大転換を迫られている時期でしたが、ユーザーの一人としてそんな会社の“これから”を内部から見られる点にも惹かれました。

外部監査人の経験を活かし、
事業構造改革の嵐を乗り越えていく。

入社後は、2年半に及ぶグローバル会計指針の改定プロジェクトに参加したほか、2020年に発表された事業構造改革計画『Nissan NEXT』の実行にあたって、グループ全体の会計処理のアドバイスや影響度調査・報告などの業務に従事してきました。当時の日産は、各国工場の生産能力効率化や従業員の雇用調整などに取り組む、嵐のような時期。「事業構造改革をとおして日産はもっと良くなれる」と信じて、その嵐のど真ん中に身を置いていました。変革を進める日産が新たな価値を取り入れる姿を目の当たりにできたのは、大変ながらも貴重な経験でしたね。

私が監査法人時代に担当していた多くの企業様も、業績不調による大きな減損や、事業の売却などに直面していたんです。再起を図る日産において、減損会計処理など、前職での経験を活かせたと感じています。また、新会計基準の適用や、車が急ピッチで“スマート化”する中、自動車業界の会計処理は複雑さを増す一方なんです。その中で、外部監査人目線でアドバイスを行う“内部者”として立ち回れていることは、大きな変化といえますね。

日産ファンとして、そして社員として。
事業改革の先にある未来を描いていく。

経理財務の中でも私たちのグループは特に、日産がどのような問題に直面しているかをグローバル視点で垣間見られるポジションです。事業構造改革に関わり会社を内部から見ることで、今後変えていかなければならない部分もどんどん見つかっています。たとえば、各種業務システムの刷新や、仕事の進め方の効率化、カスタマーフォーカスの徹底、そして従業員育成など、挙げればきりがないです。加えて、現在の延長線上ではない、新たな次元の『日産』を描くようなドラスティックな変化も必要だなと。一人のユーザーでありファンとして、自動車という枠に留まらない、日産の未来を見てみたいなと思っています。

もちろん、いまは私もそんな未来を支えていく立場。そのために、再び海外に出て現地企業・地域の強み・弱み・特徴などの幅広い知識と経験を養い、経営にも携われるようになることが今後の目標です。日の丸を背負った日本を代表するグローバル企業である日産であれば、その実現は決して夢物語ではありません。