将来、日産の社員になりたい。
その夢の実現に挑戦した学生時代。
中学生の頃、R34 型スカイラインGTR にひとめ惚れしたときから、将来、日産の社員になりたいと本気で考えるようになりました。日産の「お客様相談室」に電話をして、「日産のクルマを創るためには、どんな勉強をすればいいですか?」と聞いたのもこの頃です。“大学で工学を学ぶのもひとつの方法です”との言葉を信じて機械工学を学び、「職種別採用」では迷わず開発部門を選択。念願かなって内定を貰ったときは、心の底からうれしかったですね。現在、私は神奈川県厚木市にあるテクニカルセンターで、世界市場に向けた次世代電気自動車のエンジンコンパートメントの設計を担当しています。エンジンコンパートメントは、エンジンやモーターなどの重量物を支えると同時に衝突時のエネルギー吸収や乗員の安全確保にも重要な役割を果たします。また、エンジンコンパートメントを含む車体の設計はスケールが大きく、クルマのデザインとも密接な関係があります。デザインチームと連携しながら、カッコいいクルマ創りに挑戦できることも車体設計の魅力です。
GCPで既存モデルの品質改善に挑戦。
プロジェクトマネジメントを学ぶ。
グローバル企業である日産の技術者にとって、今後、世界市場で高い競争力を発揮するクルマを開発するためには、多様な知見と価値観を持つ、さまざまな国の技術者との共創が不可欠です。私はグローバルな共創をリードする技術者へ成長するため、海外での経験を積みたいと上司に伝えていたところ、部署からGCP に推薦して頂き、面接審査を経てGCP に挑戦することになりました。約3 ヵ月間にわたり、英国にあるテクニカルセンターヨーロッパで、同じ英国内のサンダーランド工場と連携し、既存モデルの品質改善に取り組む。それが私のミッションでした。私が主に手掛けたのは、走行中に発生する風音の低減です。クルマはドアとボディの隙間や段差などの数値に、一台ずつ微妙なばらつきがあります。これを調整し、理想の数値に均一化することで、ばらつきがもたらす風音の発生を抑えるプロジェクトでした。プロジェクトで学んだのは、異なる考え方や視点を持つ英国人エンジニアと協力し合い、プロジェクトを前進させることでした。私がプロジェクトのリード役を担い、まず、ゴールイメージを共有化し、日英双方の価値観を尊重しながら、全員が納得する最善策を導き出していきました。そのプロセスには、コミュニケーションの壁や技術に対する価値観のぶつかり合いも多々あり、苦労の連続でした。しかし、このときの経験が現在、日本で多様な国籍の技術者とチームを組み、プロジェクトを遂行する上での大きな自信につながっています。
クルマに求める価値の多様性を知り、
世界で愛されるクルマを創る。
GCP を通じて学んだことは、プロジェクトマネジメントや技術的な側面だけではありません。たとえば、英国は車道と歩道の分離が進んでおり、歩行者の安全が確保されているため、一般道でありながら100km/h に近いスピードで走れる路も少なくありません。また、英国にはラウンドアバウトと呼ばれる信号のない環状の交差点があり、車が途切れるタイミングを見計らって素早く侵入することが求められます。従って、高速安定性や加速性能なども、英国の交通環境に適応したパフォーマンスが要求されます。“クルマに求められる価値は国ごとに違っている”という視点を持てたことも、GCP の成果に他なりません。この経験を活かし、世界各国で愛され、評価されるクルマを設計していきたいと考えています。