INTERVIEW
インタビュー
EVの高電圧化を見据えた、
樹脂部品の先行工法開発にチャレンジ。
所属:パワートレイン技術企画部 先進パワートレイン要素技術開発グループ
スキルアップを目指し、
サプライヤーから完成車メーカーへ。
母国のマレーシアに住んでいた頃から日本の技術力に憧れていた私は、日本の大学に留学して材料工学を学びました。卒業後も日本に残り、2社ほど日系の自動車部品サプライヤーを経験。エアフローセンサー用の半導体樹脂封止構造の開発、電池の機構設計、材料開発などに携わり、製品の要求性能を満たすデザインから工法設計まで、一貫した開発業務に取り組みました。
日産への転職を考えたのは、社会人になり6年目を迎えたタイミング。私は以前から「自動車の技術を通じて、母国だけでなく世界との架け橋となる仕事がしたい」と考えていたため、自動車全体を視野に入れてスキルアップできる完成車メーカーを目指すように。日産を選んだ理由は、ルノーとのアライアンスなど、日本のメーカーでありながら、グローバルマーケットで存在感を発揮していたことが大きいです。また、当社が得意とするEV/電動化分野、とくに電動パワートレインの開発において、私自身が習得してきた知識を活かせると考えたことも入社の決め手になりました。
EVのさらなる進化を促す
モーター部品の工法を開発。
現在は、パワートレイン技術企画部先進パワートレイン要素技術開発グループに所属し、モーターを構成する部品の一つである、“ステータ”の開発に取り組んでいます。ミッションは、樹脂材料を用いたステータの先行工法開発および材料開発です。現行のEVに搭載されているモーターのステータは、ほとんどの場合で金属が使用されています。しかし、今後のEVでは高電圧化が予想され、それを見据えると、発生した熱を逃げやすくする必要があります。その中で、絶縁性と熱伝導性を確保するため、樹脂を使用した部品開発が注目をされています。
新規開発なので製品の形状もイチからの設計。目下、CADを使った3Dモデルの作成や解析、アイデアのプレゼンなどを行いながら地道に開発を進めている最中です。材料や工法の構想が確立したあとは、生産設備の開発・導入なども検討していくため、最終的な量産技術の開発完了までには2、3年程度の時間が掛かる見込みですが、国内・海外の競合メーカーに先駆けて完成させることで、業界のスタンダードになるような製品をつくりたいと考えています。
既成概念に捉われず、
ボトムアップでアイデアを共有できる。
エンジニア視点でのサプライヤーと完成車メーカーの最大の違いは、仕事で関係性を持つ部門や関係者の数です。クルマ全体をトータルで開発している完成車メーカーでは、一つの部品を開発するだけでも、搭載されるクルマのコンセプトや仕様を熟知した上で、その部品に求められる性能を決めていく必要があります。設計や材料、品質保証など、さまざまな部門の人たちと意見を交換しながら仕事を進めていくスタンスが求められる環境ですね。
その一方で、完成車メーカーでは、自分のアイデアをゼロベースから製品に反映させることができます。サプライヤー時代の仕事は、完成車メーカーの要求を満たすことが大前提でしたから。日産入社以降は、既成概念に捉われることなく、ボトムアップ式にアイデアを共有する機会が本当に豊富です。現在の業務においても、私自身の考え方やアイデアを随所で活かせていて、エンジニアとして大きなやりがいを得られています。
技術を前進させる投資に積極的。
日産では、研究開発費がハードルにはならない。
日産は、“研究開発や設備に対して積極的に投資をする”印象です。そのため、私が取り組んでいるステータの工法開発においても、研究開発費がハードルになるようなケースはほとんどありません。生産技術系のエンジニアにとって“予算の都合で既存の設備を使った開発・生産しかできない”という状況はもどかしいもの。日産には、技術を前進・実現させるための新規設備を積極的に導入し、新しいアイデアを取り入れる風土があり、エンジニアとしても新たな技術にチャレンジしやすいと感じています。
私自身の直近の目標は、現在携わっている樹脂によるステータの工法開発と量産ですが、将来的にはモーターに他の部品の機能を代替させる多機能化にも挑戦したいですね。また、最新の技術をどんどん吸収できる日産の環境を活かして、自動車開発全般の知見をさらに深めていき、5年後、10年後には、日本以外の海外拠点や生産工場などで仕事をしてみたいと考えています。